キリスト教大辞典

キリスト教の問題点について考える

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死刑について

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おそらく説明するまでもなく、すでによくご承知だとは思うのですが、キリスト教徒が死刑に反対する理由は、モーセ十戒に「殺してはならない」という一文があるからです。ただそれだけの理由です。人権だの、何だのといろいろな理由を後付けしているようですが、実際には、国民が選んだ法務大臣の裁可によって、国民の払った税金が使われて死刑が行われるということは、我々自身が直接殺人に関わっていることになる。それは我々が十戒に反していることになってしまうからダメだ。反対だ、と、つまりこういう理屈で反対しているわけです。たとえばこんな感じです。

死刑制度 | 公益財団法人 日本キリスト教婦人矯風会

 

そして、死刑の代替案として、終身刑を導入せよ、と言っています。殺さないならOKでしょ、というわけですね。しかし、直接殺すか、死ぬのを待つかの違いはありますが、実質的にはどちらも死刑なのではないでしょうか。30歳で終身刑判決を受けて80歳で死亡したのであれば、彼は50年かけて死刑になったのだ、ということにはならないのでしょうか。終身刑を導入して死刑廃止、というのは詭弁にしか聞こえません。

また、聖書の神は死刑を禁止してはいません。次をご覧ください。

レビ記20:8-13

あなたがたはわたしの定めを守って、これを行わなければならない。わたしはあなたがたを聖別する主である。だれでも父または母をのろう者は、必ず殺されなければならない。彼が父または母をのろったので、その血は彼に帰するであろう。人の妻と姦淫する者、すなわち隣人の妻と姦淫する者があれば、その姦夫、姦婦は共に必ず殺されなければならない。その父の妻と寝る者は、その父をはずかしめる者である。彼らはふたりとも必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。子の妻と寝る者は、ふたり共に必ず殺されなければならない。彼らは道ならぬことをしたので、その血は彼らに帰するであろう。女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべき事をしたので、必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。女をその母と一緒にめとるならば、これは悪事であって、彼も、女たちも火に焼かれなければならない。このような悪事をあなたがたのうちになくするためである。

禁止どころか、死刑相当の犯罪を定義して、これらに違反するものは死刑にしなさい、とはっきりそう言っていますね。

よろしいでしょうか、なぜこんなことになっているかというと、キリスト教徒は、ユダヤ教徒じゃないんだから、モーセの律法(トーラー)を細かくすべて守ろうとする必要は無くなったよ、だから、十戒のところだけ守っていればそれでいいよ、と教えてしまうからです。だから、十戒に殺すなと書いてあるから死刑はダメだ、というショートした考えが発生するわけです。十戒は、律法全体の総則に過ぎないのです。ダイジェストなのです。むしろ細かい中身のほうを読んで理解しなくてはならないわけです。トーラーを捨てるならば十戒ごと捨ててしまわなければならなかった、ということです。

 

死刑がなぜ行われるのか、現行法的にはきちんとしたロジックがあるでしょうが、法の専門家ではない私があえて意見を言うのであれば、自然法、というか、倫理的な話として、それは、まだ日本の社会が死刑を廃止できるほどに成熟していないからだ、ということになるでしょう。死刑廃止の本来の姿は、現行法では死刑の宣告を受けるほどの犯罪者が、廃止後の社会においては、定められた刑期を勤め上げた後は釈放されて社会生活を再開するチャンスを有する、ということです。

子供を残虐に殺された親が、その犯人が社会復帰して、マンションの隣の部屋に引っ越してきたときに、その現実を受け入れて彼の幸福を願うことができると思いますか? できないでしょう。だから死刑があるのです。死刑は、死刑を言い渡されるほどの犯罪を犯してしまった、その犯人のためにあるのです。今はまだあなたを受け入れる社会が整っていない。すまないが死んでもらう他に道はない。というわけです。

冤罪という問題もあります。それは理解できるのですが、冤罪をなくすという意識が重要な事柄なのであって、死刑を廃止すれば自動的に冤罪が無くなるわけではありません。別に議論すべき問題だと思います。

 

死刑執行に抗議なさっている婦人会の皆さん、あなた方も子や孫が殺されたら、「殺せ殺せ、犯罪者を死刑にしろ」と叫ぶのではないですか?

天国行きの切符を失わないためだけに死刑反対と言っているのではないですか?ちょっとよくお考えになってみてはいかがでしょうか。