キリスト教の問題点について考える

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奪われる天国

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マタイ伝福音書 11:12 に、

バプテスマのヨハネの時から今に至るまで、天国は激しく襲われている。そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている。

とあります。難解で、どういう意味なのかわからない、という感想がよく聞かれる聖書の箇所でもあります。

しかし、その答えは福音書のあらゆる箇所に散りばめられています。一つ選んで読んでみましょう。

マタイ21章

33もう一つの譬を聞きなさい。ある所に、ひとりの家の主人がいたが、ぶどう園を造り、かきをめぐらし、その中に酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 34収穫の季節がきたので、その分け前を受け取ろうとして、僕たちを農夫のところへ送った。 35すると、農夫たちは、その僕たちをつかまえて、ひとりを袋だたきにし、ひとりを殺し、もうひとりを石で打ち殺した。 36また別に、前よりも多くの僕たちを送ったが、彼らをも同じようにあしらった。 37しかし、最後に、わたしの子は敬ってくれるだろうと思って、主人はその子を彼らの所につかわした。 38すると農夫たちは、その子を見て互に言った、『あれはあと取りだ。さあ、これを殺して、その財産を手に入れよう』。 39そして彼をつかまえて、ぶどう園の外に引き出して殺した。

「天国」とは、誤解を恐れず端的に言ってしまえば「教会」のことです。「神の子」肝いりの、鳴り物入りで造られた、「神の国」の実現である教会でしたが、その運営に当たって、金が動くという現実に気づいたが最後、神の国は盗賊の巣窟となってしまうわけです。おわかりでしょうか、これが、天国が奪われるということの意味です。

神の叡智によって作り上げられた理想の世界(教会)の価値は、長くは持たずに、その価値を保持する為の別の価値に目をつけた内部の者達によって強奪、破壊されてしまう、イエス様はそのことを予見していたのだということです。そして次の箇所、

それだから、あなたがたに言うが、神の国はあなたがたから取り上げられて、御国にふさわしい実を結ぶような異邦人に与えられるであろう。

とあるように、神の教えを聞いても本質を探ろうともしない、愚鈍なキリスト教徒よりも、イエス様の福音に触れたことはないが、優れて聡明な異教徒によって神の国の後継がなされるであろう。と言っているわけです。

上の例えの、ぶどう園は天国を、殺された下僕と息子は神を、殺した農夫はキリスト教徒を表しているのです。これらの単純な例えが難解であると評価されるのも無理はありません。評価するものが天国を奪い、天国の主人である神を殺したたとえ話の、その張本人であるわけですから。