梅雨に入りましたね。梅雨入りということはそろそろ祇園祭、ということになります。祇園祭というと、山鉾巡行を思い起こされる方が多いのではないかと思うのですが、実際には7月1日の「吉符入」から、7月31日の「疫神社夏越祭」まで、一ヶ月に渡って行われるお祭りです。
そんな中、今年も長刀鉾の稚児が決まった、という報道がありました。祇園祭といえば、鉾の上の稚児が四条通の御旅所の前に張られたしめ縄を刀で切る場面が映し出されますが、その稚児と、鉾上で稚児の両側に座っている二名の禿が決まったという報せです。短い記事ですので全文引用しておきましょう。
京都三大祭りの一つに数えられ、7月に行われる『祇園祭』。その前祭の山鉾巡行で先頭を行く長刀鉾に乗る「稚児」と補佐役の「禿(かむろ)」が6月2日(月)に発表された。
今年の稚児は同志社小学校3年生の久保 堅斗君(8才)で、禿はノートルダム学院小学校4年生の岡山 登吾君(10才)と岡山 晴汰君(10才)が務める。
堅斗君は[久保商事株式会社]代表取締役・久保 貴裕さんの長男。「長刀鉾のお稚児さんに選ばれて嬉しいです。乗馬としめ縄切りをが楽しみです」と感想を述べた。禿である登吾君と晴汰君は双子の兄弟で、兄弟で禿を務めるのは昭和31(1956)年以来だという。
「少し緊張しているが、禿として頑張りたいです」と意気込みを語った。稚児は8~10才ぐらいの男子が選ばれ、祭りに際しては長刀鉾町と養子縁組をし、大安の日に結納が行われる。また、禿に選ばれた2人は行事のすべてで稚児のお供をするのだそう。前祭と後祭で34基ある山鉾のうち、人形ではなく子どもの稚児が乗るのは長刀鉾だけで、しめ縄切りを行い巡行のスタートを告げる大役を果たす。
それぞれ興味のあることについて、堅斗君は今年始めたばかりという野球が好きで「将来は野球選手になりたい」と語った。登吾君も同じく野球が好きで、将来の夢は野球選手だという。一方、晴汰君はものづくりが好きで、「将来はお医者さんになりたい」と口々に話し、緊張が少し解けた。
稚児になると、男性が調理したものだけを食べるようにもとめられたり、13日の稚児社参から17日の前祭山鉾巡行までの間は地面に足を下ろすことを許されず、社参などで外出が必要の場合は、強力(ごうりき)という役割の成人男性に担がれる、というような不自由な生活を、祭りの間送ることになります。下の動画をご覧下さい。
一体、何にそれほど係るのかわかりませんが、稚児を引き受ける家は2000万必要なのだそうです。だいぶ昔に聞いた話ですので、今はもっと値上がりしているかも分かりません。
ところで、上の記事を読みますと、稚児と2人の禿はいずれもキリスト教系の小学校に通う生徒であるようです。面白いですね。小学校はキリスト教系の学校にやり、一方では神社の祭礼に対して大金を支払って奉仕をさせる。
一見、相反する行動をとっているかのように見えるのですが、実際はこれが日本人の通常の、宗教に対する健康な感覚なのだろうと思います。牛頭天王も素戔嗚尊もキリストもみんな同じなのです。とりあえず良い結果を施してくれる。日本人にとって神とはそういう存在なのです。