アメリカの大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認定したのだとか。何らかの利権が絡んでいるのだろうとは想像できるのですが、上記のWall Street Journalの記事には、つぎのような記述もあります。
トランプ氏の福音派助言団体のメンバー、ジョニー・ムーア氏は「これは福音派への対応だけで決定されたわけではないが、福音派の影響なしでは決まらなかっただろう」と語った。ムーア氏は多くの福音派やユダヤ系指導者の広報を手掛けるカイロス社の創業者でもある。
キリスト教の一派がまとまってエルサレムの首都認定に一役買ったのだという説明ですね。
次の発言も摩訶不思議です。
エルサレムを巡る福音派の動きを非難する向きは、福音派はユダヤ人のためではなく、イエスの復活にはユダヤ人がエルサレムを支配しなければならないと黙示録が説いていると信じているからだと指摘する。
「 イエスの復活」は「キリストの再臨」の間違いだとしても、黙示録に「ユダヤ人がエルサレムを支配しなければならない」と説いている箇所があるとは思えません。もしそうなら、キリスト教の構造は根底から間違っていることになってしまいます。
そして
ファースト・バプテスト・ダラス教会の牧師でトランプ氏の福音派助言団体のメンバーを務めるロバート・ジェフレス氏は創世記を引用し「神はユダヤ人にイスラエルを与え、3000年前にエルサレムをイスラエルの首都に決めた」と語った。「神がイスラエルを愛するから、われわれもイスラエルを愛する」と話した。
キリスト教の理解では、選ばれた民族であるイスラエル国民は地上の教会員に、エルサレムは天上の教会に帰結した、ということになります。消滅したのではなくて昇華したわけです。「神がイスラエルを愛するから、われわれもイスラエルを愛する」という考えは、神の受肉と受難、復活に関する福音書の教えを何一つ理解出来ていないことになってしまいますが、福音書を理解できないのに「福音派」となのるとは陳腐な現実です。
彼らにとって旧約は未だに有効であって、新約と同時進行している、ということなのでしょうか。あるいは、新約は実際には幻であって、旧約こそが唯一の希望だと思っているのでしょうか。もしそうならば、首都云々よりもまえに割礼を受けなければならないでしょう。
いずれにせよ、どっち付かずで中途半端。馬鹿げた話だと思います。